みなさん、わんちゃん、ねこちゃんの避妊手術、去勢手術についてどのくらいご存知ですか?

全身麻酔が必要で、痛みを伴うものですので、ためらわれる気持ちを分からなくはないですが、それ以上にメリットのある予防的治療です。

一生を健康に過ごす一助になりますので、是非ご検討ください。

1.なぜしないといけないの?

・ 望まれない妊娠による不幸な動物が減ります。
・ 発情時の煩わしさから解放されます。(人も動物も)
・ 病気の予防効果が期待されます。
・ スプレー・マウンティング・攻撃性など性ホルモンに関係した問題行動に対する効果が期待されます。

2.どんなことをするの?

・ メスの場合、卵巣および子宮を摘出します。開腹手術です。
・ オスの場合、精巣を摘出します。基本的には開腹は必要ありませんが、腹腔内精巣と呼ばれる状態など状況によっては開腹手術が必要になります。

3.病気の予防って?

・ 女の子では、子宮と卵巣の病気(子宮蓄膿症、卵巣の癌など)の予防、また、早期の実施(3回目の発情まで)により乳腺腫瘍の発生率を減らせることがわかっています(犬の場合)。
・ 男の子では、精巣腫瘍、会陰ヘルニア、前立腺肥大などへの予防効果があります。
・ また、間接的には、猫同士のケンカに巻き込まれたりすることが少なくなるので、ケンカ傷やケンカで伝染する感染症の予防効果も期待されます。

4.悪いことは起きないの?

・麻酔のリスク

手術には全身麻酔が必要です。麻酔のリスクは残念ながら0%ということはできません。

リスクを最低限にするため、術前に身体検査、血液検査などの健康診断をしっかり行ってから麻酔をかけます。

手術は、注射の麻酔薬で眠らせた後、気管チューブを挿管し、安全性の高いガス麻酔で麻酔の維持を行います。

術中は心電図、呼吸モニター、酸素飽和度、血圧などをしっかりモニターしながら安全に配慮しながら実施します。

・肥満

ホルモンバランスが変わるため、太りやすい体質になります。ただし、これは食事の管理によってコントロール可能です。

・縫合糸のアレルギー反応

体質によっては縫合に使う糸にアレルギー反応を示すケースがあります。

当院ではベッセルシーリングシステムという装置を用いて血管を止血して可能な限り縫合糸を体内に残さない術式にしております。

ただし開腹手術などではお腹を閉じる糸など完全に縫合糸を使わないわけにもいきませんので、その場合にはアレルギーのリスクの少ないと言われているタイプの吸収糸を使用しています。

このような、デメリットを差し引いても避妊手術・去勢手術には大きなメリットがあります。

健康な子に予防のために行う手術ですので、比較的麻酔のリスクも少なくて済みますが、飼い主さんには一大決心を要するのも事実です。

できるだけ、不安を少なくした上で手術を受けてもらいたいので、分からないことなどがあれば動物病院にご相談ください。